環境教育ネクストステップ研究会

地域ESD活動推進拠点

SDGsと企業の環境経営【第2回 開催報告】


四日市市・四日市商工会議所 共催事業
SDGsと企業の環境経営 第2回開催報告

日 時:平成30年11月28日(水)15時~17時
場 所:四日市商工会議所ホール
参加者:43名
テーマ:企業の先進事例に学ぶ
講 師:①コマニー株式会社 常務執行役員 塚本 直之 氏
    ②株式会社マルワ  社 長    鳥原 久資 氏 
    ③ユニー株式会社  顧 問    百瀬 則子 氏

講演概要
開会(司会:谷崎)・第1回の振り返り(寺田)

・第1回はSDGパートナーズCEOの田瀬和夫様の講演。
・SDGsは企業にとってビジネスチャンスであり、コンプライアンスとして配慮しなければグローバル社会から圧力を受けるもの、政治上の不安・環境資源・ビジネス上の顧客である中産階級の縮小などの問題に対処が可能となるもの。
・SDGsの取り組みにおいて大切なことは、①時間的逆算思考(ムーンショット)、②論理的逆算思考(対処療法では問題解決にならない)、③リンケージ思考(ドミノ効果 17個はバラバラではいけない)。
・これからの企業のブランディングに欠かせないものとなる。特に地域の中小企業にとってはイノベーションを生み出す原動力となるもの。

事例発表
1.コマニー(株)常務執行役員 塚本直之氏
講演中の塚本直之さん・石川県小松市の会社、パーティションを製造販売。
・リーマンショックで赤字を計上、2011年(創業50周年)に再スタート、2016年(創業55周年)に「世の中の幸せのために企業がある。関わる人全てが幸せに」を目指し、55Visionを策定。コマニー(株)が目指す「関わる全ての人が幸福となる経営」とSDGsの目的が一致していると考え、2018年4月2日に「コマニーSDGs宣言」を行った。

コマニーSDGsメビウスモデル・SDGsの目標9である技術革新をレバレッジ(てこ)として、これらを持続的に循環するための「コマニーSDGs∞(メビウス)モデル」を採択。メビウスモデルの左の「ガバナンス」と右の「プロダクト・サービス」は独立しているわけではなく、左右で循環・向上させるもの。
・2018年11月「災害時、二次被害ゼロの社会をつくるビジネスアイデア 〜キレイな避難所トイレ環境〜」でSDGsビジネスコンテスト優秀賞を受賞。ユニバーサルデザインを追求したオールジェンダー対応トイレはグッドデザイン賞を受賞。
・社会貢献活動として地域貢献(子どもの職業体験など)、日本貢献(被災地ボランティアなど)、世界貢献(カンボジア支援)を展開。
・地球環境との共存を目指し、太陽光発電システムの増設、社用車としてテスラの電気自動車を採用、マイボトルの推進など。また今年8月、グローバル・コンパクトへの署名を行った。
SDGsに取り組み始めた効果として、①新たなビジネスへの挑戦機会が増えた。②選択と集中の明確化により意思決定のスピードが上がった。③パートナーシップの可能性が拡大し、今まででは考えられなかった会社とパートナーシップが取れるようになった。

2.(株)マルワ 社長 鳥原久資氏
講演中の鳥原久資さん・愛知県名古屋市の印刷会社。1958年創業、従業員29名。
・3つのISOの運用のためにそれぞれ委員会を作って対応している。環境委員会(ISO 14001行動指針:地球に優しさ発信)、品質向上委員会(ISO 9001行動指針:お客さまあっての品質向上)、情報委員会(ISO 27001行動指針:お客さまに安心と信頼を提供する情報セキュリティの実現)。
・印刷業会はブラックな印象、値引きしか他社との差別化ができない。情報発信はSNS へ移り、紙媒体は減少の一途。ビジネス環境は激変しており、5年後さえ予測不可能。その中で非財務情報が企業価値の尺度になり始めた。以前からCSR活動を推進しているがCSRは難解。そこでSDGsに着目。
・SDGsに取り組むことにより企業イメージが向上。社会課題に取り組むことは生存戦略となり、また新たな事業機会の創出につながっている。小さな価値の発見で自社の潜在能力に気づく。
・マルワのSDGs
①MUD(メディアユニバーサルデザイン) 〜配布資料「見え方の多様性」参照。2018愛知県ユニバーサルデザインガイドラインの制作。
②インターンシップ・職場体験 〜2016-2018で会社見学466名。社員教育にもつながる。
③女性活躍推進 〜「えるぼし」「あいち女性輝きカンパニー」の認証取得
④エコキャップ運動への参加 〜ゴミの分別・カーボンオフセット
⑤紙でエコする「カミデコ」 〜社内で残った紙を紙製品に再生
⑥公園清掃 〜毎月全社員による公園清掃
⑦バナナペーパー 〜アフリカのザンビアで生産されたバナナの茎の繊維に古紙やパルプを加え、越前和紙の製法で作られたフェアトレードペーパー。名刺やカレンダーを印刷。
・2030年にも元気な組織であるために社内でもSDGsを発信 〜配布資料「Printalk」参照。
SDGsへの取り組みは結果として売上アップにつながっているが、それは結果論で儲けの手段と考えてはいけない。

3.ユニー(株) 顧問 百瀬則子氏
講演中の百瀬則子さん・ユニー(株)は名古屋市に本社を置く総合小売業のチェーンストア。
・百瀬様はCSR担当だったが退職し、現在顧問。
・企業として未来の子どもたちのためにSDGsに取り組み、消費者と一緒にお買い物で地球を守る。
・2008年、すでに環境への取り組みのトップランナーだったユニーは、洞爺湖サミットに先がけて、鴨下環境大臣と、更に高い目標であるエコ・ファーストの約束を交わした。
・ユニーのエコ・ファーストの約束は、食品廃棄削減とリサイクル推進や地球温暖化防止など企業活動と、消費者教育でエコライフスタイルを提案し、推進すること。
・食品ロスの原因の一つに、「お客様は奥の棚から新しい商品を取りがち。また閉店間際まで商品がないと不満」などがあり、消費行動由来のものがある。消費者に啓発活動を行い、食品ロスを削減する活動を実施している。また、店では廃棄物を分別し、堆肥やエコフィード等食品リサイクルの原料として、温度管理した廃棄物庫で保管している。
食品リサイクルループ 〜店から排出した食品残さをリサイクルする堆肥化施設やその堆肥を使って栽培した畑で、子ども達に「命をいただいて生きていること」を学んでもらっている。循環型農業・地産地消のリサイクル野菜は消費者にも好評。
レジ袋廃止 〜横浜市で試験導入時は、消費者に理解されず売り上げが落ちた。しかし売場の従業員のPRにより、3ヶ月で売上は回復。その反省から、地域の自治体・消費者・同業社と連携し、全国展開につながった(一度使っただけでゴミになるようなものは使わないというお客様との合意)。また、レジ袋の削減により5億円のコストカットになった。
SDGsの取り組みは、従来から取り組んでいる環境活動(ISO14001)などと関連させて、事業計画に組み込むことと、従業員各人のネームホルダーの環境目標にSDGsのピクトを入れることにより、「自分ごと」にしている。

4.パネルディスカッション
ファシリテーター(寺田)、パネリスト(事例発表者の3氏)
(SDGsを従業員とともに進めるには)
塚本:独自性・経営理念が大前提となる。企業の強みを生かして何が出来るかを考える。
鳥原:理念で社員のモチベーションを上げる。お客に特別感が伝わる。
百瀬:業績が落ちると業務以外の活動に費やす時間や意欲が低下してしまうことがある。しかし、従業員は消費者や地域が喜んでくれることを望む。お客様から「そうだね」と言われることを積み重ねることで、モチベーションが保てる
(そうは言っても経営は大変では)
塚本:問題やゴールに取り組まないことの方がリスク。近い未来のリスク・危機感への対処は社会が認める。
鳥原:先ずはトップが楽しむ。お金のかからないことからやる。
百瀬:プラスチック製容器包装やレジ袋の規制が法律になることを事前にキャッチすることでいち早く対策を図る。地域行政や消費者と協働で信念を持ってやる!これが一番。
(以前から行っていた活動と比較し、SDGsにつなげると何かいいことがあるか)
塚本:ISO取得の時は、これがないと付き合いに支障が出るという後ろ向きの姿勢だった。SDGsは今取り組めば企業価値が上がる。
鳥原:SDGsはCSRよりお客に伝えやすい。SDGsのバッジを着けているだけで独自性が出せる。営業担当は弊社の様な小さいところでもグローバルに社会貢献していくとPRしている。
百瀬:企業としてSDGsに取り組むことで、地球環境や地域社会に貢献できる。また、子ども達はこれから学校でSDGsを学ぶので、お父さんお母さんの会社は何番をやっているなど親子の会話が生まれる。