環境教育ネクストステップ研究会

地域ESD活動推進拠点

活動報告(2016年度) 【 プロボノ講演会記録 】


平成28年度 四日市公害と環境未来館委託事業
プロボノ講演会「新しい社会貢献活動プロボノを知ろう!」

日時:平成29年2月8日 13:30~16:00(水)
会場:四日市公害と環境未来館
参加者:33名

<配布物>
本講演会のチラシ、プログラム、中部プロボノセンターのパンフレット
<プログラム>
司会進行:先浦宏紀(環境教育ネクストステップ研究会)

1.開会あいさつ
環境教育ネクストステップ研究会 代表理事 寺田卓二

2.講演「新しい社会貢献活動 プロボノを知ろう!」
講師:戸成司朗氏
   NPO法人 中部プロボノセンター代表理事
   住友理工株式会社CSR部長
   ㈱住理工ジョイフル代表取締役社長

(1)日本社会は持続可能か?
・人口減少社会の到来
2030年には生産人口は51%に減少、5人に1人が75歳以上
2060年には稼ぐ人が1人、養われる人が1人の“肩車社会”
急激に増える75歳以上の要介護世代を社会がどうやって支えていくのか
・インフラは維持できるのか?
コンクリートの耐久年数は約50年だが、2030年には67%の橋が築50年以上になる。公共投資を全てつぎ込んでも補修しきれない。日本の橋の三分の一は渡れなくなる。
・平均所得と分布の違い
平均所得は541万円だが中央値は427万円で200万円台が最も多い。
ほんの一握りの高所得者が平均所得を引き上げているだけ。
・深刻化する子どもの貧困
相対的貧困率を子どもの貧困率が超えた! シングルマザーの貧困が増加、専業主婦が離婚するとたちまち貧困に。
・国の借金1000兆円は消費税何%にすれば減らせるのか
GDP500兆円で推移する試算では、30%強の消費税を50年以上続ける必要がある。

(2)社会を誰が支えるのか?
・公助・自助の限界⇒市民が支えあう社会「共助社会」
NPO法人に代表される市民活動団体が主役になる時代
日本海側を中心とする財政の厳しい県ですでに始まっている
(例)山形県川西町(全世帯出資・加入のNPOで地域経営)
   長野県大鹿村(住み残れる地域を目指す生活支援型NPO)

(3)企業を取り巻く新しい動き
・ESG投資(環境、社会、ガバナンスなど非財務情報も考慮しつつ収益を追求する手法)がグローバルに拡大
・企業はESGの取り組みを「企業の宝を活かし事業として社会貢献を実現すべき分野の発見・開拓・持続性確保」と位置付けるべきである。
・SDGs(持続可能な開発目標)が2015年9月の国連で採択
世界的に企業はSDGs17の分類に沿って企業活動を公開するとともに事業活動の機会と捉えている。
・新しい価値を創造し続ける企業は社会感度が高い
・企業の社会貢献の新たな動き
人的ボランティア、金銭的ボランティア+知的ボランティア(プロボノ)

(4)プロボノ活動について
・プロボノとは・・・・
社会人が業務上で得た知識やスキルを活かして市民活動団体を支援すること。
急激に増える75歳以上の要介護世代を社会がどうやって支えていくのか
・支援内容・・・
事業戦略、業務改善、組織拡大、情報システム活用など
・プロボノへの不安
スキルがあるのか⇒企業の中で普通に行われていることがスキル
活動時間は?⇒就業時間外
会社の支援は?⇒行政主催の入門編プロボノへの参加
         本格的プログラムは中部プロボノセンター主催のプログラムに参加
・NPO法人の課題
志、ミッションを持った人の集まり。資金不足、人材不足を抱えている。事業戦略を立てることが得意でない、事業遂行能力が弱い、かかわる人の力を引き出すマネジメントが弱いなどの課題
・プロボノがNPOを支援するときの留意点
企業の論理をそのまま持ち込まず「志」を大切にしながら手法を提案する
・NPO側の留意点
取り組んでいる社会課題の背景や活動内容を丁寧に説明する
心を開いてプロボノの提案を聞く
・プロボノは人材育成に有効
社員の視野を広げ、社会感度を高め、一回り大きく育てる
・「企業の宝」は人材と知財
社員の社会感度をどう高めるかということが企業の人材開発として急務
企業の社会貢献は社会的投資である。「社会的価値の増大」「企業価値の向上」を目指すことが重要
地域への貢献は大企業より地域に密着したローカル企業ほど重要

<質疑応答・意見交換>
戸成:住友理工プロボノプログラムは4年目に入った。毎年10名のプロボノ養成に参加するがそのうちの6人は教育の一環として任命されてやってくる。1回目の研修時は不満顔だったのが、回を重ねるごとに顔つきが変わってくる。参加した社員はたいへん成長する。
司会:社会感度を高め、物事を広く見ることができるようになるということが、自分の成長につながる。
戸成:NPOでは「持続可能性」は当たり前のことだが、企業人にとっては「え~そうなの」という反応になる。
会場:団塊の世代の企業OBである。パラレルキャリアを持つことが大切だと思って在職中いろいろやってきた。四日市には、人材ポケットがあるがうまく機能していない。行政、NPO、ボランティアそれぞれの思いが違うからではないかと思う。
戸成:今年6月、プロボノセンター内にプロボノバンクを作る予定である。卒業生(約200名)が登録でき、登録後には「現役のうちから2枚目の名刺を持とう」ということで、名刺を発行する。コーディネーターを増やしたいと考えているが、きちんと報酬を払うようにする。企業OBの皆さんが活動をする場合には絶対に有償にした方がいい。そうすることで活動の幅が広がる。
会場:市民協働促進条例ができたのでこれからは市民が主役となり、四日市も変わっていかなければいけない。

3.企業のCSRの取り組み紹介
●東ソー 
・30の企業と管理事務所で里山保全活動や清掃活動などを実践
・出前授業で若手従業員と小学生の交流
・活動に行き詰り感があるので次のステップに進めるようにしたい
●住友電装
・青少年育成事業:「住友電装杯」野球、サッカーなど支援
・環境活動:河川や海岸清掃、NPOグリーンパートと連携
・出前授業:職業体験
・文化継承:諏訪太鼓チーム
・女性ラグビーチームの支援
・地域とのつながり:四日市のNPOに福祉車両を無償貸与
・地域とのつながりをさらに深めたい →
 地域のニーズに合わせて、NPOと連携して従業員が活動に参加していく
●三重銀総研
・NPOの支援・・・・地方創生のための社会的な投資
 環境保全:人的ボランティアとしてNPOと連携して植樹や苗の育成を実施
 子育て支援:NPOに対する金銭支援
 NPOに業務をアドバイスするところまではいっていない。
・戸成氏への質問
 企業とNPOをつなぐしくみをつくることが難しいのではないか?
 どのくらいの企業とNPOが出会えばいいのか?

4.講師からの全般的なコメント
・企業の方々も地道に活動していて素晴らしい。
・住友理工では寄付型から参画協働へ変革を行った。寄付金の額は変わっていないがお付き合い寄付をやめた。NPOと組んで社員も参画するプログラムを組んでいる。
松阪では助成金制度をおこない、地元で本当に必要なことをやろうとしているNPOの支援をしている。5万円、10万円程度の助成金で軌道に乗れば、セブンイレブンなどの大きな助成金にチャレンジしてもらえばいい。
大切なのは寄付金を増やすのではなく見直すことであり、社員が一緒に活動することである。
・プロボノの活動エリアは生活圏。四日市で1DAYチャレンジをしたことはとてもよい。そこから発展してショートプログラムにいくと課題解決に向けた具体的なアプローチができる。
・企業はNPOとの敷居を低くしてほしい。
・不安な時は中間NPOの支援を受ければよい。様々な情報は中間支援のNPOが持っている。
・コーディネートのノウハウを持っていないと、企業と「志」を持つNPOがぶつかってしまう。ノウハウは中部プロボノセンターが提供するが、企業やNPOを集めるのは地元の中間支援NPOが行うのがいいと思う。

以上